タンパク質について アメリカ栄養士会の見解 「植物性タンパク質だけで十分」

タンパク質について アメリカ栄養士会の見解 「植物性タンパク質だけで十分」

お肉もお魚も卵も牛乳も食べない、そんなヴィーガン食に対する素朴な疑問の一つ、それは「タンパク質はどうするのか?」というもの。これに対するストレートな解答として、アメリカ栄養士会が2009年に発行したPosition of the American Dietetic Association: Vegetarian Diets(ベジタリアン食に関するアメリカ栄養士会の見解)から、タンパク質に関する段落を引用し、翻訳して紹介します原文:PP_VegetarianDiets (1).pdf (628,7 kB) )。

考察:ベジタリアンの栄養 

タンパク質

様々な植物性食品を摂取し、必用なエネルギーが満たされている場合、植物性タンパク質のみでタンパク質所要量を満たすことは可能である。一日を通して摂取された様々な植物性食品により、全ての必須アミノ酸の提供が可能であること、また健康な成人において十分な窒素保持を確保・利用することが可能であること、同じ食事で補完的なタンパク質を摂取する必要はないことが研究で示唆されている(8)。窒素バランスのメタ研究では、タンパク質の供給源によるタンパク質の必要性の重大な差異は確認されなかった(9)。

タンパク質の質を決定する一般的な手法である、タンパク質の消化吸収率について補正されたアミノ酸スコアを基準として、その他の研究では分離した大豆タンパク質は、動物性タンパク質と同様に効果的にタンパク質所要量を満たすことができるが、小麦タンパクのみを摂取した場合は、例えば窒素の活用効率が低減する結果となることが確認されている(10)。したがって、ヴィーガンのタンパク質所要量の推定は、ある程度食品の選択によって変化する場合がある。食品および栄養学の専門家は、タンパク質の摂取源が主に、一部の消化が難しい穀類や豆類などである場合は、推奨食事許容量よりも幾分高いタンパク質量が必要であることを認識すべきである。(11)

穀類は必須アミノ酸の一つであるリジンの含有量が低い傾向にある(8)。動物性タンパク質を摂取しない個人の食事を評価する際、また食事のタンパク質が比較的少ない場合は、この事が関係している場合がある。リジンの含有量が少ないタンパク源の代わりに豆類や大豆製品の摂取量を増やす、あるいはあらゆるタンパク源からの摂取量を増やすなどの食事調整により、十分な量のリジンを摂取を確保できる。一部のヴィーガンの女性のタンパク質摂取量は微量ではあるが、ラクトオボベジタリアンおよびヴィーガンの典型的なタンパク質の摂取量は、必要量を満たすか、または上回っている(12)。運動選手もまた、植物性の食事で必要なタンパク質を摂取することが可能である (13)。

Position of the American Dietetic Association: Vegetarian Diets (July 2009) 1267-1268
※文中の数字は原文巻末の参考文献を参照。(原文:
PP_VegetarianDiets (1).pdf (628,7 kB))

以上がアメリカ栄養士会の見解です。つまり

  • 植物性タンパク質だけで必要なタンパク質を全て摂取することが可能
  • 大豆タンパクは動物性タンパクと同じくらい効率の良いタンパク質である
  • 小麦などは大豆に比べ、必須アミノ酸のリジンが少なく、効率の面では落ちる
  • 十分な量のリジンを確保するには、穀類だけでなく大豆などの豆類を摂るように心がける
  • 平均的なラクトオボベジタリアンおよびヴィーガンのタンパク質摂取量は必要量を上回っている

ということです。日本人には身近な大豆食品である、豆腐(油揚げ、厚揚げ、がんもどき、絹ごし、高野豆腐)、納豆、豆乳などは全て優秀なタンパク源です。
また、タンパク質で考えるより、アミノ酸で考えた方が視野が広がります。タンパク質はアミノ酸で構成されています。ウシのタンパク質を摂取しても、結局体内ではアミノ酸に分解され、ヒトのタンパク質に再構成するという作業が行われます。つまり、ヒトのタンパク質を構成するために必要なタンパク質(必須アミノ酸)をバランスよく摂取すれば良いということになります。

そしてこのアミノ酸というのは、大豆に限らず、葉野菜や根菜など、あらゆる野菜に含まれています。アメリカ栄養士会の見解で「様々な植物性食品を摂取し・・・(省略)・・・ている場合、植物性タンパク質のみでタンパク質所要量を満たすことは可能である。」と言っているのはこのためなのです。但し、上記の翻訳文でもわかるように、リジンという必須アミノ酸の一つは、野菜だけでは不足しがちです。なので、それを豊富に含む大豆などの豆類を積極的に摂取することがポイントになるというわけです。